建造物
伽藍は佐保山の丘陵地に立地し、本堂からは奈良の街並みが一望されます。現在の建造物は、小堀遠州が菅原伏見に造営、後に移築されたものです。父正次が秀長に仕えていたことから、遠州は興福院に特別に思いを寄せたといいます。また遠州の友人で、茶人としても名高い春日社神職久保権太夫利世(長闇堂)は、多忙の遠州に代わり直接造営の指揮にあたりました。
※ 大門、客殿、庭園、御霊屋、本堂、茶室(長闇堂、龍松庵、雲笑亭)は、下の境内図から解説に移動できます。
大門
江戸時代 県指定文化財
切妻造本瓦葺の四脚門。寛永13年(1636)の3代徳川家光公の寄進を受け、尼ヶ辻に造営されました。瓦には元禄14年(1701)の銘があり、その頃に菅原伏見から佐保へ移築されたことがうかがえます。

客殿
江戸時代 重要文化財
入母屋造檜皮葺。禅宗寺院の方丈風の間取りとなっています。古材を利用した再建と考えられ、大玄関は後から増築されました。襖絵は渡辺始興(1683~1755)筆、障子襖絵は鶴澤探索(1729~97)筆です。

庭園
江戸時代 市指定文化財
客殿の東側・北側に接して造られ、佐保山の傾斜地を生かして植栽や石組みを配し、上方に本堂を、下方には奈良市街を望みます。作庭は遠州の死後であり、その作風を弟子が写した “遠州好み” の庭といわれます。

御霊屋
江戸時代 市指定文化財
入母屋造本瓦葺。代々の徳川将軍の御位牌をお祀りし、随所に葵の御紋があしらわれています。室内には渡辺始興の豪奢な障壁画を有し(京博寄託中)、徳川家との関係を物語る霊廟建築として県内では珍しい建物です。

本堂
江戸時代 県指定文化財
寄棟造本瓦葺。近世浄土宗の建築様式に沿う建物ながら、外観に古代の連子窓や桟唐戸を取り込み、内部は内陣・外陣を仕切るなど、南都の古代寺院を強く意識した建造物です。正面の扁額は小堀遠州の揮毫です。

